2022年3月4日
「最近近くの文字が見えづらい」
「パソコンを使うとすぐに目が疲れる」
「なんだかピントが合いづらい」
と感じてきた方は、「老眼」かもしれません。
「老眼」といえば40代くらいから始まると思っている人が多いようですが、若いうちから始まる人もいます。
最近は「スマホ老眼」といって、10代や20代の方でも「老眼」のような症状に悩まされている方が増えています。
「老眼」の症状は放っておくと目以外にも様々な不調を引き起こす可能性があると言われています。
この記事では「老眼」について解説していきます。
1、老眼とは
1-1 老眼とは何か
「老眼」とは目のピントを調節する機能が老化によって衰え、近くのものが見づらくなる、という症状です。
一般的に40代頃から始まると言われていますが、最近では20代や30代でも「老眼」のような症状を訴える人も多くなってきています。
1-2老眼の症状とは
「老眼」といえば近くのものが見えづらい、という症状を思い浮かべがちですが、実は「老眼」の症状はそれだけではありません。
また「近視の人は老眼にならない」と思っている人もいるかもしれませんが、近視の人でも「老眼」になることがあります。
全ての人が「老眼」になる可能性があるのです。
では、代表的な「老眼」の症状をみてみましょう。
【老眼の症状】
- 近くの物にピントが合わせづらい
- 夕方など暗い時間になると見えづらい
- パソコンを使っているとすぐに目が疲れる
- 目の奥の部分が重くて痛い
- 頭痛、肩こり
などの症状が「老眼」の主な症状です。
1-3老眼のメカニズム
では、「老眼」はどうして起こるのか、そのメカニズムについて解説していきます。
老眼に関係しているのは「水晶体」と「網様体」です。
目の組織 | 機能 |
水晶体(すいしょうたい) | 目のレンズの役割をする |
毛様体(もうようたい) | 水晶体の厚みを調節してピントを合わせる |
この2つの組織の働きが老化によって衰えることで、「老眼」になってしまうのです。
では、次にこの2つの組織の働きについて説明します。
毛様体 | 水晶体 | |
近くの物を見る時 | 緊張する | 分厚くなる |
遠くの物を見る時 | リラックスする | 薄くなる |
このように「毛様体」と「水晶体」の動きによってピント調節しています。
しかし、加齢とともに、「水晶体」が固くなり、「毛様体」が動いても「水晶体」の厚みが変わらなくなってしまうのです。
その結果、ピントを合わせる機能が低下し「近くのものが見づらい」という状態になってしまうのです。
1-4スマホ老眼が急増中
「老眼」は加齢によって起こる老化現象の一つですが、最近では10代や20代の若い人も「老眼」のような症状で悩んでいる方が増えています。
その原因がスマートフォンやパソコンを長い時間使用することだと言われています。
若いうちからなる「老眼」のような症状を「スマホ老眼」といいます。
この「スマホ老眼」には2つのパターンがあります。
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【調整弛緩型スマホ老眼】
近視でメガネやコンタクトレンズでの矯正が必要な人が、メガネやコンタクトレンズを使用せずに裸眼で長時間スマートフォンやパソコンを使用した場合になると言われています。
このような生活でいると毛様体を動かさなくなり、水晶体も動かなくなります。
その結果、水晶体の動きが悪くなってしまい、メガネやコンタクトレンズをつけた時に近くの物が見えにくくなるという「老眼」のような症状がでてしまいます。
【調整緊張型スマホ老眼】
メガネやコンタクトをつけたまま長時間スマートフォンやパソコンを使用した場合になると言われています。
このような生活でいると毛様体がずっと緊張したままになり、水晶体も厚い状態のままになってしまいます。
その結果ピント調節機能が悪くなってしまいます。
【「スマホ老眼」は治るのか】
老化が原因の「老眼」と違って「スマホ老眼」は治ることが多いといわれています。
目のストレッチや生活習慣の改善を行うことで「スマホ老眼」はある程度回復すると言われていますが、このような症状がある方は一度眼科を受診してみましょう。
「スマホ老眼」に効果のある目のストレッチや生活習慣の改善法はこの記事の後半でご紹介します。
2、老眼になった時の対処法とは
2-1 遠近両用メガネ
遠近両用メガネとは1つのメガネで遠いところと近いところの両方を見ることができるようになるメガネのことです。
メガネの上部に遠いところを見るための度数、下部に近いところを見るための度数のレンズが入っています。
一昔前は「二重焦点レンズ」という遠い用レンズと近い用レンズの境が分かりやすいものが主流でしたが、最近は「累進焦点レンズ」というレンズの境が分かりづらいレンズが使われることが多いです。
2-2遠近両用コンタクトレンズ
遠近両用コンタクトレンズとは1枚のレンズに遠くを見るためのレンズと近いところを見るための2つの度数がはいっているコンタクトレンズのことです。
メガネを使用することに抵抗があるという人に良いでしょう。
また、遠近両用コンタクトレンズを使用すると「老眼」の進行を早めてしまうのでは、と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、遠近両用コンタクトレンズの使用で「老眼」の進行に直接的に影響を与えることはないでしょう。
2-3老眼鏡
老眼鏡は近いところを見えやすくするレンズがはいっているメガネのことです。
「老眼」によって見えづらくなった近くにあるものを見るのに便利です。
老眼鏡を選ぶ上で大切なことは、自分がよく見るものの位置に合わせた度数を選ぶことです。
自分で度数が分からない、という方は病院やメガネ店などで相談してみると良いでしょう。
2-4老眼に適用される手術もある
「老眼」に効果がある手術もあります。
手術で多焦点眼内レンズを目の中に挿入することで、遠くの距離の物も近くの距離の物も見えやすくなります。
この手術は先進医療として認められていますが、保険診療ではないので、メガネやコンタクトレンズよりは費用が掛かります。
当然ですが人によって効果に差もあります。
2-5老眼に効果のあるツボ押し
「老眼」に効果が期待できるツボがあるので、ご紹介していきます。
【承泣(しょうきゅう)】
- 目の疲れ
- 視力低下
- かゆみ
- 充血
- 目のクマ
などに良いされるツボです。
【晴明(せいめい)】
- 目の疲れ
- 目のかすみ
- 老眼の改善
- 老眼の予防
などに良いとされるツボです。
【ツボの押し方】
- 押しやすい指でゆっくりツボの部分を押す
- 5秒間そのまま押す(痛くない程度の強さで)
- 慣れてきたら円を描くようにマッサージする
ツボ押しは毎日行うことで効果が期待できます。
2-6老眼に効く食事
「老眼」だけでなく目の病気の予防のために大切なことは、普段の食事です。
食事は目だけでなく体の健康維持のためにも影響します。
健康的な食事をして「老眼」の予防に努めましょう。
では、これから老眼予防に効果的な食事についてご説明します。
【目に良い栄養素】
目に良いとされる栄養素とその栄養素が含まれる食べ物をご紹介します。
目に良い栄養素 | 栄養素が含まれる食べ物 | 効果 |
ベータカロテン | ほうれん草、小松菜、モロヘイヤ、かぼちゃ、ブロッコリー など | 目や粘膜の新陳代謝を保つ |
ビタミンA | うなぎ、レバー、かぼちゃ、にんじん など | 目や粘膜の新陳代謝を保つ |
ビタミンC
| キウイ、レモン、ゆず、芽キャベツ、赤ピーマン など | 白内障予防 |
ビタミンE
| うなぎ、かぼちゃ、アーモンド、ツナ油漬け、 キングサーモン | 血流改善 |
ビタミンB1 | うなぎ、豚肉、たらこ、きな粉、 大豆、グリーンピース
| 脳への神経伝達の機能を正常化する |
ビタミンB2 | レバー、うなぎ、さんま、牛乳、 納豆
| 目の細胞の再生を促す 疲れ目予防 |
ビタミンB6 | あさり、レバー、牡蠣、赤貝
| 造血作用に影響を与える
|
ポリフェノール
| 緑茶、ブルーベリー
| 抗酸化作用 |
カロテノイド | トマト | 抗酸化作用
|
カルシウム
| ほうれん草、ひじき、のり、納豆、玄米 | 痙攣予防(まぶたの)
|
DHA | うなぎ、マグロ、さんま、いわし など | 神経の維持 |
タウリン
| 貝類、イカ、タコ など | 目の疲労回復 |
目に良いとされる栄養素はこれだけたくさんあります。
これだけの栄養素を毎日摂取しようと思ったら大変です。
この表を見て自分の食生活に足りないと思われる栄養素を見つけ、その栄養素を含む食材を今の食生活にプラスしてみましょう。
まずは自分に不足しがちな栄養素を知って、その栄養素を含む献立を組むことが大切です。
また、上に示した栄養素だけ摂取するのではなく炭水化物・タンパク質・脂質などの栄養素などもバランスよく食べるようにしましょう。
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3、老眼のトレーニング方法とは
「老眼」はトレーニングをすることである程度改善させることや、早めに対策することで「老眼」の進行を遅らせることは可能です。
では、これから家で簡単にできるトレーニング法をご紹介していきます。
3-1、目のストレッチ
目の筋肉をほぐすための簡単なストレッチをご紹介します。
いつでも、どこでもできる簡単なストレッチなのでぜひ毎日続けてみましょう。
【老眼に効果のある手を使った目のストレッチ】
- 自分の手の位置辺りにピントを合わせる
- 頑張ったらピントが合うくらいの遠いところにピントを合わせる(2秒)
- 再度、自分の手の位置辺りにピントを合わる(2秒)
- 2~3を5回繰り返す
このストレッチを1日10回行ってみましょう。
【老眼に効果のある指先を使った目のストレッチ・近視の人編】
- 指先に「C」マークを書く、もしくは貼る
- 指先の文字がはっきり見える位置を探す
- 2の位置から文字がぼやける位置まで腕を伸ばす
- 2の位置まで3秒間かけて戻す
- 2~4を3回繰り返す
このストレッチを1日2回行ってみましょう。
【老眼に効果のある指先を使った目のストレッチ・遠視の人編】
- 指先に「C」マークを書く、もしくは貼る
- 指先の文字がぼやける位置を探す
- 2の位置から文字がはっきり見える位置まで腕を伸ばす
- 2の位置まで3秒間かけて戻す
- 2~4を3回繰り返す
このストレッチを1日2回行ってみましょう。
【老眼に効果のある眼球ストレッチ】
- 顔を動かさずに眼球を左右に3往復動かす
- 次に上下に3往復動かす
- 次にななめ・逆ななめに3往復動かす
このストレッチを1日1回行ってみましょう。
3-2、100円均一メガネ法
100円均一にある老眼鏡を使った簡単なトレーニング法をご紹介します。
【100円均一メガネを使った方法】
- +2度の老眼鏡(100円均一の物でも、その他の物でもよい)を用意する
- メガネ・コンタクトの上から1の老眼鏡をかける
- 少し離れた景色などをぼーっと眺める
これを毎日5分程度行ってみましょう。
4、「スマホ老眼」について
若い世代を中心に問題となっている「スマホ老眼」について解説していきます。
4-1「スマホ老眼」の原因とは
目のピント調節を司る「毛様体」の使い過ぎが原因だと言われています。
具体的にどのような行動が「毛様体」にダメージを与えるのか、について説明していきます。
- スマートフォンの長時間使用
- 暗い場所でスマートフォンやパソコンを使用
- スマートフォンの画面を早いスピードでスクロールして、それを見る
- 長時間本を読む
- 暗い場所で本を読む
など
このような行動が「毛様体」にダメージを与えてしまいます。
事前に時間を決めてスマートフォンを使用したり、本を読んだりするようにしましょう。
途中で休憩することも有効です。
4-2「スマホ老眼」の予防法とは
- 睡眠をしっかりとる
「スマホ老眼」は目の使い過ぎによって目が疲れてしまうことが主な原因なので、しっかりと睡眠をとることである程度回復するでしょう。
体が疲れた時にしっかり寝ると回復するのと同じです。
しっかりと睡眠して目の疲れをとってあげましょう。
- 長時間近くの物を見ない
スマートフォンを長時間近くで見ないようにすることが「スマホ老眼」予防におすすめです。
スマートフォンを使用する時は時間を決めて、何分かに1回は遠くの景色を見るなどしましょう。
またスマートフォンの画面からでているブルーライトも目の疲れの原因だと言われています。
ブルーライトカットメガネをかけたり、ブルーライトカットシートを使用したりするのも「スマホ老眼」予防に効果的でしょう。
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ブルーライトカットで目の疲れが変わる?ブルーライトを抑えるおすすめの眼鏡5選
- 老眼鏡を使用する
「スマホ老眼」の原因の一つがピント調整を行う「毛様体」の疲れです。
老眼鏡をかけるとピント調節の補助をしてくれるので、「毛様体」の負担を減らすことができます。
ピント調節を補助するために老眼鏡をかけてみるのもよいかもしれません。
- 目を温める
目やその周辺を温めることによって目の周辺の筋肉がほぐれ、目の機能を回復させてくれます。
温かいアイマスクや蒸しタオルを10分程度目にかぶせてリラックスするのがおすすめの方法です。
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- 目に良い栄養素を摂取する
目に良いといわれている栄養素を積極的に摂取して体の内側から「スマホ老眼」を予防するのも良いでしょう。
上の図に示した目に良い食べ物などを積極的に食事に取り入れてみましょう。
5、老眼は放っておいてはダメ?
「老眼は加齢によって起こる症状だから仕方がない」という理由で放っておく人もいるようです。
しかし「老眼」を放っておくと慢性的な眼精疲労になり、体調にも悪影響を与えかねません。
【眼精疲労からくる体調不良とは】
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 食欲不振
- イライラ
などです。
その他にも人によって様々な体調不良を引き起こすといわれています。
「老眼」になることは仕方がないことですが、正しく対処することでその症状を緩和することができる可能性があります。
このような症状でお悩みの方は、まず眼科を受診してみましょう。
まとめ
「老眼」は加齢に伴って誰にでも起こる可能性がある症状です。
最近は若い人たちの間でも「スマホ老眼」といって「老眼」によく似た症状で悩んでいる方もいます。
「老眼」や「スマホ老眼」は日常生活の改善やトレーニングなど日々の心がけで改善する可能性があります。
「老眼」について正しく理解し、目に無理のない健康的な生活を目指しましょう。
しかし、「老眼」だと思っていたら別の病気が原因だった、ということもあるので、「老眼」のような症状でお困りの場合は眼科を受診しましょう。
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